青年海外協力隊の二次試験は「面接」ですが、これがかなり厄介です。結構チクチク聞かれます。僕の時は若干「圧迫」気味だったような。
「面接」って緊張しますよね。
でも、その面接も「青年海外協力隊の目的」や「求められる(られそう)な人材」をあらかじめ考えておけば、何も怖くありません。
もし圧迫でも「そりゃそうだよね。多少演技してでも怖くするよね」となります。
今回は僕が考える「青年海外協力隊の面接で必ず押さえるべきポイント3点」をお送りします。
青年海外協力隊の目的とは
まずは、青年海外協力隊の目的を押さえておきましょう。
HPではこうなっています。
JICAボランティア事業は日本政府のODA予算により、独立行政法人国際協力機構(JICA)が実施する事業です。開発途上国からの要請(ニーズ)に基づき、それに見合った技術・知識・経験を持ち、「開発途上国の人々のために生かしたい」と望む方を募集し、選考、訓練を経て派遣します。
その主な目的は、以下の3つです。
(1)開発途上国の経済・社会の発展、復興への寄与
(2)異文化社会における相互理解の深化と共生
(3)ボランティア経験の社会還元
なかでも、青年海外協力隊は事業発足から50年以上という長い歴史を持ち、これまでにのべ4万人を超える方々が参加しています。
*JICAボランティア事業とは「青年海外協力隊」のことです。
簡単に言うと、
- 派遣先の国の役に立ってね
- 仲良くやって、日本の良さを伝えてね
- 帰国したら今度は日本の役に立ってね
と言う感じでしょうか。
青年海外協力隊には数値目標がない?
が、実は青年海外協力隊の活動に数値目標は決められていません。
「派遣先の国の役に立ってね」と言われても実際は
中学校で授業をして2年間で生徒の偏差値が◯◯上昇した
地域の貧困率が◯◯%下がった
と言ったことは(JICAからは)求められません。
つまり、役に立ったかどうか実際は計られない、と言うことですね。
同様に「相互理解の文化と共生」についても数値目標はありません。
数値化できるものではないですが。
よってこの2点は以下のように言い換えられます。
現地の人、職場の人と仲良くやって「また協力隊に来て欲しいな」と思ってもらう
意外と気にされる青年海外協力隊の「その後」
目的の3点目にあった「帰国したら今度は日本の役に立ってね」という部分、実は意外と気にされています。
青年海外協力隊にかかるお金って、全部税金なんですよね。
協力隊一人あたりにかかるお金はトータルで2,000万円とも言われています。
もし協力隊経験者が全然働かないぞ!となれば、
「2,000万もかけて海外で経験を積ませたのに、帰国したら働かないの!?」
と国に苦情が行くわけですよね。なので、3点目はつまり「帰国したら働いて税金納めてね!」と言い換えられるわけですね。
協力隊員が越えるべきハードルとは
協力隊の目的を、ごくごく簡単にまとめると以下の2つでした。
- 現地の人、職場の人と仲良くやって「また協力隊に来て欲しいな」と思ってもらう
- 「帰国したら働いて税金納めてね!」
これを元に青年海外協力隊が越えるべきハードルを考えてみます。そうすれば自然と面接で押さえるべきポイントも見えて来ますね。
青年海外協力隊が越えるべきハードル1
海外で「うまくやる」
2年間海外で、言語コミュニケーションが不自由で、価値観が違っていて、生活インフラ(水道電気など)が不自由で、という状況で現地の人に「また協力隊に来て欲しいな」と思ってもらうのは実はかなり困難です。
キーワードとしては
「誠実」「コミュニケーション力」「笑顔」「論理性」「適応力」
などなど挙げればきりがありません。
こういった全てのキーワードを限られた時間で面接官が確認することはできるでしょうか。
不可能でしょう。
なので、印象的に「うまくやれるかどうか」を判断することになりますよね。
ということは面接でもこの点を対策すれば良い、ということになります。
青年海外協力隊が越えるべきハードル2
帰国後のビジョンを持つ「2年で200万もらえるんですよね?帰国後はその金で海外放浪するっす!」
という人はちょっと…と言うことですね。
思ってても言うなと。
青年海外協力隊が越えるべきハードル3
無事に帰ってくる。実はこれが一番大事です。何よりも一番大事です。
怪我、病気などで2年間全うできない例は珍しくありません。
が、この点は一次試験時に提出する「健康診断書」で審査されており、二次試験に進めているということはクリアしている可能性が高いので今回は触れません。
*「可能性が高い」としたのは診断結果が基準のボーダーにある場合に面接で詳細を聞かれることがあり、それ次第では「健康面に不安があるため」と不合格になる可能性があるためです。
青年海外協力隊の面接で必ず押さえるべきポイント3点
前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。
青年海外協力隊が越えるべきハードルは以下の3点でした。
- 海外でうまくやる
- 帰国後のビジョンを持つ
- 無事に帰ってくる
これらを踏まえた上で面接時に必ず押さえるべきポイントは以下の3点です。
- 元気だが話をよく聞く
- これまでの経験を要請にどう活かせるかを示す
- 協力隊の経験を「現時点で」どう生かしたいと思っているかを示す
元気だが話をよく聞く
正直、当たり前、と思われるかもしれません。
が、「海外で2年間暮らす」という特殊な前提の元でかつ
「無事に帰って来てくれるか」
「現地の人と仲良くやってくれるか」
という点を判断されるため、この点は通常の企業面接などよりも重視される傾向にあると思われます。
では、具体的にどうしたらいいのでしょうか。
*当たり前だ!と思えたら、読み飛ばしつつ本番で気をつけていただければOKです。
質問は最後まで聞く
食い気味に答えるのはやめましょう。
質問中は小さくうなずきながら聞いて、面接官が喋り終わったら一回小さく深呼吸をしてから始めるくらいでOKです。
暗記したことを話さない
スラスラ話してくれるか、なんてことよりも
「コミュニケーションが取れるか」という点を見られます。
ので、想定内の質問でも想定外の質問でも、
・ゆっくり
・はっきり
・面接官たちの目を見ながら
話しましょう。
「あ、この人は誠実に考えてから話をしているな」
というのが伝わればOKです。
通常人と話す時ってそんなにペラペラ話せませんよね。
考えながら、ちょっと詰まりながら、「ちょっと待って」と少考しながら。
それで良いんです。
だって面接時の相手が見ているのは
「優秀かどうか」ではなく
「2年全うしてくれるか」
「相手に好印象を与えてくれるか」
が一番なのですから。
これまでの経験をどう要請に活かせるかを示す
元気で誠実な印象を持ってもらえたら、次は少しだけ「できる人、考えている人」感をプラスしましょう。
ここでは特に受け入れ先の現地の方がに
「これからも協力隊に来て欲しいな」
と思われる、という点がポイントになります。
ただ「元気」で「誠実」な人だけでは
「2年間いてくれて楽しかったけど、特に何も変わってないな」
となってしまうかもしれません。
(実際は必ず何かの気づきや収穫が双方にありますが)
なので、「自分の経験がなぜこの仕事に活かせるか」を表現しましょう。
具体的にはどうしたら良いのでしょうか。
要請書を読み込む
どんな仕事をするか、何を求められているか、は全て要請書にしか書いていません。 なので、要請書をとにかく読み込みましょう。
同僚とワークショップを行う、とあれば大学時代のグループワークなんかも膨らませてワークショップ的なことをした、そこで双方の知見を交換して高め合い問題解決をすることに意義を感じたとか言いましょう。
生徒に教える、とあればバイトで後輩に業務を教えたことなんかも膨らませて、教えるだけではなく相互コミュニケーションを重視し、新しい目線で指摘を受ければそれを柔軟に取り入れてその後の指導に取り入れて質の向上をなんども行った、とか言いましょう。
一人で黙々が好きな人は、それのみをアピールするよりも作業プロセスで他の人と一緒にやったこと、それによって得られた気づきなどを盛り込みましょう。
協力隊の経験を「現時点で」どう生かしたいと思っているかを示す
前述の通り、帰国後は働いて税金を納めて欲しいのです。
(もちろん、国際理解を深める活動とかもして欲しいのですが)
「自分」に「協力隊の経験」がプラスされるわけなので今から多少でもイメージを持っておくと「帰国後までイメージできているな」と好印象です。
ただ、2年間でどんな刺激を受けてどう考えが変わるかもわからないのに帰国後のイメージを持てというのも難しい話です。
よほど具体的にイメージできて、かつそのイメージにたどり着くまでの手段として協力隊が唯一のものである、という人以外は下手に答えるとやぶ蛇になります。
例)
孤児院で活動予定→子どもと関わる仕事なので、保育士や先生という選択肢もあるかも
→え、じゃあ協力隊行かずに今から勉強すれば?
なので、特に2年後具体的なイメージが固まっていない人は、例えば
「任国での経験を大事にして、かつ2年間自分ができることを突き詰めることで帰国後に日本社会に還元できる方法を考えたいです。就職か、公務員か、農業か、など方法は多々あると思うのでそこに縛られずまずは活動に集中します。そうすることで見えてくるものもあると思います。」
的な感じで
・まずは任務に集中する
・でも考えていないわけじゃない
・一生懸命やったら何か得られる
と素直に答えるのが吉だと思っています。
僕が実際そうだったので。
青年海外協力隊の面接で必ず押さえるべきポイント3点:まとめ
「青年海外協力隊に求められること、人材像」から
「青年海外協力隊が越えるべきハードル」を逆算し、結果として僕が考える青年海外協力隊の面接で必ず押さえるべきポイントは以下の3点でした。
- 元気だが話をよく聞く
- これまでの経験を要請にどう活かせるかを示す
- 協力隊の経験を「現時点で」どう生かしたいと思っているかを示す
これで面接もばっちりですね!
あなたが無事青年海外協力隊として活躍できることを祈っています。