農業経済
え?
なにそれ??
おいしいの???
そんな農業経済アレルギーな方(僕含む)がサラッと、でも深めに知識を得られる本、見つけちゃいました。
その名も
農業がわかると、社会のしくみが見えてくる
安心して!高校生でもわかるように書いてあるわ!!
目次
「農業がわかると、社会のしくみが見えてくる」をオススメする理由
「農業がわかると、社会のしくみが見えてくる」をオススメするには2つの理由があります。
オススメポイント1.高校生向けに書かれているのでわかりやすい
農業と社会?
農業と経済?
正直、ピンとこないです。
そんなノウギョウケイザイ音痴な僕が、この本を読んだら

となっちゃいます。
なぜって?
この本が高校生〜大学生を対象に書かれているから。
専門的な知識が無くても理解が深まるように、具体的な数字と話し言葉による平易な文章で構成されています。
だから、読みやすいし理解しやすい!
オススメポイント2.プロが推薦!
元JA(農業協同組合。農業のプロ集団。)職員で現ブロガーのゆかたんさんという方がいらっしゃいます。
僕が

と途方に暮れていた時、ゆかたんさんのツイートを発見したのでした。
ブログ更新!
元農協職員のゆかたんが、超初心者向けに農業のきほんがわかる本を5つ紹介してるよ!
【超初心者向け】元JA職員が選ぶ「農業の基本がわかる本」を5選紹介! – 農LIFE研究所https://t.co/8dU6gpn2oF— ゆかたん / 農学校学長 (@AgriBloger) June 20, 2018
農業に関する本ってものすごく種類があるんですよね。
僕みたいな素人が農業のことを広く浅く知りたいと思っても、何を読んだらいいかわからない。
そこで農業のプロが初心者が広く浅く知るならコレ!と言ってくれているんです。
ありがたーーーーい!
ちだが読んだ、ゆかたんさんのオススメ書籍レビュー
ということでオススメポイントをまとめると
- 高校生向けに書かれているのでわかりやすい
- 農業のプロが推薦!
となります。
本当にオススメです。
「農業がわかると、社会のしくみが見えてくる」には何が書いてあるのか
「農業がわかると、社会のしくみが見えてくる」にはこんなことが書いてあります。
- 食糧危機は本当にやってくるのか?
- 「先進国 = 工業国、途上国 = 農業国」は本当か?
- 自給率で食糧事情は本当にわかるのか?
- 土地に恵まれない日本の農業は本当に弱いのか?
- 食料は安価な外国産に任せて本当によいのか?
個人的に、目からウロコ的内容がたくさん詰まっていました。
日本の耕作面積よりも広い面積が砂漠になっていくってなんかやばくね?と素直に思ってしまいました。1991年の調査報告書でやや古いが、国連環境計画は毎年500万ヘクタールの耕地が砂漠化で失われていると推計している。
500万ヘクタールと言われてもピンとこないよね。2017年の日本の耕地面責は444万ヘクタールだった。
「農業がわかると、社会のしくみが見えてくる」-p33
ところが、農産物の貿易、なかでも基礎的な食料(*ちだ注:「基礎的な食料」 = 「穀物」(米、麦、豆類)の貿易に関する限り、途上国 = 農業国、先進国 = 脱農業国という認識には修正が必要だ。
略
すぐ分かるのは、輸出超過は北米・EU・オセアニアでいずれも先進国だということ。
逆に、アジアとアフリカは純輸入地域。先ほどの栄養不足人口が集中している地域と重なっている。穀物は先進国から途上国に向かっている。
「農業がわかると、社会のしくみが見えてくる」-p52
これまで深く考えたことがなかったから気づけませんでしたが、僕は勝手に先進国は作物をジャブジャブ輸入して、食べ残す。
途上国は食料を先進国に取られて貧困。
という図式を描いていましたが、穀物については全くの逆だ、ということがわかりました。
先進国が実は農業大国でもある、ということですね。
一方で、先進国でありながら食料を多く輸入している日本について、そこから今後の日本を含めた東アジアについても言及されています。
少し先回りして言うならば、これからの東アジアでは、経済成長とともに穀物の輸入量がさらに増加していくのではないか。
先進国でありながら、ではなく、先進国になったために農産物の輸入陣営に加わる一群の国々。それが近未来の東アジアの姿ではないかと思う。
「農業がわかると、社会のしくみが見えてくる」 -p58
こういった世界の農業だけではなく、後半にはそれらと結びつけて日本の農業に触れていきます。
世界の状況をわかりやすくおさえた上で、日本の現状はこれ、そして日本の農業のいいところが実例を交えて紹介されています。
全ての人に関連する食、農業がテーマであるからこそ、これから農業に携わる人間は日本の一地域だけではなく世界のことを知る必要があるんだなと思わせていただけます。
「農業がわかると、社会のしくみが見えてくる」でちだ的にささったところ
「農業がわかると、社会のしくみが見えてくる」は高校生が農業経済のことを分かるように、をモットーに様々なデータや歴史的事実を用いて書かれています。
また、あとがきに書かれていますが「複眼的な目線」を大事にされていて、一方的な書き方にならないよう気をつけていらっしゃいます。
読者は、データや事実をわかりやすく解説してもらいながら、自分の頭で物事を比較しつつ考えることができるわけですね。
とっても良い本です。
そして最もちだに刺さったのは、本の後半部分に書かれている筆者の方の日本農業への想いです。
お金に換算できないところに農業の価値がある
水源かん養、洪水防止、景観形成など、農業の多面的機能はそれこそ多種多様だ。これらを金額に直すとどれほどかといった試算が、農林水産省によって行われたことがある。20年ほど前のことで、総額6兆9千億円だった。当時の農産物の総生産額10兆円弱と比較して、ずいぶん大きいという印象を持ったことを覚えている。
正直に言えば、これで農業の大切な価値が評価されたことになるのだろうかとも感じた。お金に換算できないところにこそ、農業の価値の本領があるのではないかとの思いからだった。
「農業がわかると、社会のしくみが見えてくる」 -p168
農業の価値は、お金に換算できないところにもある。
誰もがそれを肌で感じつつも、具体的には見えづらかったりしますよね。
それを金額換算した農林水産省はすごい。
そしてその金額もすごい。
また、この農業のお金に換算できない価値から、日本人が農業や農村との接点を取り戻すことが有益であるとつなげています。
(生産者と消費者との)個性的で小さなつながりは、地域ごとに特色を持つ農業にふさわしいかたちだとも思う。小さな繋がりであっても、それが束になったときの力はずいぶん大きなものになるはずだ。
「農業がわかると、社会のしくみが見えてくる」 -p194
消費者とのきめ細やかなつながりを持つ
これこそ、大企業ができないこと、懸命にやろうとしていることですよね。
そして必ずしも農家さんや地域コミュニティができている、というわけでもありません。
だからこそ、これから農業に携わろうとする方にとってはこの「消費者との小さなつながり」がポイントになるのではないでしょうか。
「農業がわかると、社会のしくみが見えてくる」の活用方法
「農業がわかると、社会のしくみが見えてくる」はあくまでも簡単に農業経済、農業という切り口で世界や日本を切り取ってそれを簡単に学べるという本です。
こうすれば農業で儲かります!
とも書いていないし
こうすれば野菜が作れます!
とも書いていません。
だけど、日本の農業事情を取り巻く様々な事実、歴史をとても理解しやすく解説してくれます。
そしてこれから自分はどうすべきだろう、と自ら考えることを促してくれます。
これから求められるのは、自ら考え行動する力、とよく言われます。
それは農業に携わる人にとっても例外ではないでしょう。
自分で選択することが多い農業にとっては、むしろ最も重要な要素かもしれません。
つまりこの本は
- 考えるために必要な知識が得られる
- 自ら考える機会を得られる
という2つの意味でとても有益な本であると言えます。
よって、この本を活用する場合は、読んで知識を得て、かつ自ら考えてその後の行動のヒントにするというのが良さそうです。
【書評】農業がわかると、社会のしくみが見えてくる【農業経済入門書!】:まとめ
「農業がわかると、社会のしくみが見えてくる」について、まとめます。
なぜこの本をススめるのか、その理由はこちらでした。
- 高校生向けに書かれているのでわかりやすい
- 農業のプロが推薦!
「農業がわかると、社会のしくみが見えてくる」にはこんなことが書いてありました。
- 食糧危機は本当にやってくるのか?
- 「先進国 = 工業国、途上国 = 農業国」は本当か?
- 自給率で食糧事情は本当にわかるのか?
- 土地に恵まれない日本の農業は本当に弱いのか?
- 食料は安価な外国産に任せて本当によいのか?
これらによって、農業経済に関する知識やデータなどを広く知ることができます。
また、農業経済に関する知識だけではなく、これからの農業に必要な自ら考える力を養えるという点でも非常にオススメです。
こちらも、農業初心者は必読の本です!
農業には興味あるけど、農家ってどうやってなるのよ?と言う方はこちら。
農業全般について広く浅く知りたいという方は現代農業入門がオススメです。